HYBE過去最高益の裏側、BTS公演とWeverseが築く二本柱

ニュースの概要

HYBEが第3四半期に、過去最高水準の業績を記録した。牽引役はBTSの欧米ツアーである。欧州と米国の公演では、1回あたり最大7万人を集め、コンサート関連の売上は約5億4050万ドルに達した。もう一つの柱がファンダムプラットフォームのWeverseだ。月間アクティブユーザー数(=1か月に1回以上使う人の数)は1420万人となった。会場で事前に買ったグッズを受け取れる仕組みなど、現地体験とアプリをつなぐ新機能も報じられている。公演という一度きりの収入と、アプリという日々の接点。この二つが同時に伸びた四半期だった。

引用元: HYBE、BTS公演とWeverse成長で過去最高の四半期業績(Ground News)

分析・見解

売上5億ドル超は、ツアーが生む「集中型の稼ぎ」

コンサート関連売上が約5億4050万ドルに達した事実は、BTSという一組の影響力の大きさを示している。1公演で最大7万人を動員できるなら、スタジアムの座席数がそのまま収入の上限になる。チケット代、グッズ、現地の関連消費が一夜に集中する。

ただし、この稼ぎ方には波がある。ツアーが終われば売上は急に落ちる。今回の過去最高は、実力の証明であると同時に、来期以降に「同じ水準を保てるか」という宿題を残したともいえる。

1420万人の月間利用者が、波を和らげる土台になる

Weverseの月間利用者1420万人は、ツアーのない月にもファンと会社をつなぐ接点である。ライブ配信、ファン同士の交流、公式グッズの購入が一つのアプリに集まる。

身近な例に置き換えると、ツアーは「年に数回の大きな祭り」、アプリは「毎日開いている商店街」に近い。祭りだけでは収入が安定しないが、商店街の客足があれば、次の祭りの集客にも効く。実際にチケットの先行販売やグッズ購入の入口として、アプリは公演収入を後押しする役割も持つ。

会場でグッズを受け取る仕組みが示す「現地とアプリの融合」

報じられた事前購入グッズの会場受け取りは、小さく見えて意味が大きい。会場の物販には長い行列がつきもので、買えずに帰るファンも出る。事前にアプリで買い、会場で受け取るだけにすれば、待ち時間が減り、売り逃しも防げる。

ここで独自の視点を一つ挙げたい。この仕組みの本当の価値は売上増よりも、購入データが手に入る点にある。誰がどの会場で何を買ったのかが、アプリの利用履歴とつながる。次のツアーの会場選びやグッズの生産量を、勘ではなく実績で決められるようになる。

他社との比較と、今後の最大の論点

欧米の音楽業界では、ライブ収入がレコード収入を上回る流れがすでに定着している。大型ツアーに強い歌手が収益の中心になる構図は、K-POPに限った話ではない。HYBEの強みは、ライブに加えて自前のアプリという「直接の顧客窓口」を持つ点にある。

今後の論点は二つある。一つは、BTSに続く第二、第三の稼ぎ頭を育てられるかどうか。もう一つは、アプリの利用者を一時的な盛り上がりでなく、毎月の継続利用に変えられるかどうかだ。この二点が、過去最高の数字を一過性で終わらせないかを分ける。

ビジネスへの影響

ライブとデジタルを組み合わせた収益設計が参考になる

HYBEの動きは、エンタメ以外の企業にも応用できる。大きな一回限りの売上と、日常的に続く小さな接点を、同じ顧客に対して両方用意するという考え方である。たとえば展示会に出る企業なら、会期中の商談に加えて、会期前後に使える会員向けの情報サイトやアプリを持つ。そうすれば、イベントのない時期にも顧客との関係が途切れない。

顧客データを「次の一手」に変える体制づくり

事前購入の受け取りのように、現場の行動をデータとして残す工夫は、規模を問わず取り入れやすい。予約や会員証、クーポンの利用履歴を一か所にまとめるだけでも、仕入れや人員配置の精度は上がる。まず小さく始め、同じ顧客の購入履歴と来店履歴をつなげて見ることから着手するのが現実的だ。

一組への依存を避ける備えも同時に必要

今回の好決算は、一つの強い柱に収益が偏るリスクも映している。自社の売上上位の顧客や商品が全体の何割を占めるかを点検し、半分を超えるなら次の柱を育てる投資を計画に入れたい。好調な時期こそ、次の収益源に予算を割く判断が求められる。

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