ニュースの概要
韓国の芸能メディアDispatchが、創刊15周年を記念して開いたアート展示「D'FESTA The Origin」の記録として、写真集『D'icon D'FESTA The Origin』を刊行した。BTS、G-DRAGON、Stray Kids、CORTISなど48組のアーティストが登場し、現役のトップ層から新進グループまでを一冊にまとめている。撮り下ろしの写真を軸に、展示の空気ごと紙の作品へ移し替えた点が特徴だ。スクープ報道で知られた媒体が、写真表現を前面に出した企画で節目を祝った形になる。事務所の枠を超えた顔ぶれが並ぶことも、今回の企画の見どころといえる。
引用元: BTS、G-DRAGON、Stray KidsらがDispatch創刊15周年企画で集結(SBS News)
分析・見解
48組を一冊にまとめられる媒体の信用力
通常、K-POPの写真集は一組のために作られる。所属事務所が撮影を管理し、権利も事務所の手元に残る。今回はそこが違う。事務所の垣根を越えて48組が並ぶには、媒体そのものに対する撮影対象側の信頼が欠かせない。
Dispatchは長年、独自取材で芸能界の裏側を報じてきた。その一方で、公式に近い距離で写真を撮る機会も重ねてきたはずだ。厳しい報道と丁寧な撮影を両立してきた15年の実績が、ライバル関係にあるグループを同じ紙面に集めた、と読める。
展示から写真集へ、体験を残す二段構えの設計
注目したいのは、先に展示があり、後から写真集が出た順番である。展示は期間が限られ、会場に行けた人しか体験できない。写真集はその体験を長く手元に残す装置になる。
音楽業界でいえば、ライブとライブ映像の関係に近い。日本でも、美術展の図録が展示そのものより長く売れ続ける例は多い。展示で話題をつくり、写真集で収益と記録を確保する二段構えは、媒体が自分のブランドを現金化する手堅い方法だ。
世代をまたぐ顔ぶれが示すファン消費の変化
BTSやG-DRAGONのように活動歴の長い面々と、CORTISのような新鋭が同じ頁に並ぶ。ここに、ファンの楽しみ方の変化が表れている。
今のファンは、一組だけを追うのではなく、複数のグループを横断して見る人が多い。推し以外の顔ぶれも見られる一冊は、新しいグループとの出会いの入口になる。新鋭にとっては、トップ層と並んで掲載されること自体が信用の証明になる。
紙の写真集が再び選ばれる理由と残る課題
動画や配信が主流になるほど、手に取れる実物の価値は上がる。アルバムの特典付き販売が定着したのも、同じ流れだ。実物は保管でき、並べて飾れ、贈り物にもなる。
ただし課題もある。48組の権利処理は複雑で、再販や電子化のハードルは高い。価格も上がりがちで、購入層が熱心なファンに限られる恐れがある。媒体の企画が一過性の話題で終わるか、継続するシリーズに育つかは、次回作で試される。
ビジネスへの影響
自社の専門性を形にして見せる企画のつくり方
この事例は、媒体ビジネスだけの話ではない。自社の専門領域で十数年の蓄積がある企業なら、同じ型を使える。まず、節目に合わせて顧客や取引先を横断的に集める。次に、展示やイベントで体験をつくる。最後に、冊子や記録集で残す。
中小企業でも、周年の顧客インタビュー集や事例集を作る例は増えている。大切なのは、自社の宣伝に偏らず、関わる人たちが主役になる構成にすることだ。登場する側にも得があると感じられれば、協力は集まりやすい。
競合を同じ場に呼べる関係づくりが資産になる
48組を集められた背景には、日頃の信頼の積み重ねがある。企業でも、業界団体の記念誌や共同企画では、競合同士が同じ場に立つ。呼びかける側に求められるのは、公平さと実績である。
実務としては、参加条件を明文化し、掲載内容の確認手順を決め、成果物の使い方を事前に合意しておくとよい。権利や掲載順をめぐる行き違いは、企画後の関係を傷つけやすい。
体験と実物を組み合わせる収益モデルの検討点
展示で集客し、写真集で収益を得る流れは、一度の企画から複数の売上を生む。ただし、制作費と在庫の管理は慎重に行いたい。初版の部数を絞り、反応を見て増刷する方法ならリスクは下げられる。購入者の声や販売データを次の企画に活かせば、一回限りの話題づくりから、継続して育つ事業へ進められる。