AEN初のドーム公演が示す、K-POP新人の交流型ステージ戦略

ニュースの概要

日韓同時デビューを掲げるグローバルボーイズグループAENが、埼玉のベルーナドームで開かれた大型K-POPイベント「INKIGAYO LIVE in TOKYO」に出演し、自身初となるドームのステージを踏んだ。公開されたメイキング映像には、公演前にファンから寄せられたダンスチャレンジを練習するメンバーの姿が収められている。本番でもファンダム「Aneee」との距離を縮める場面が用意され、約3万人の観客を前にした緊張と高揚が映し出された。圧倒的な演出で見せるのではなく、ファンとのやり取りそのものを見せ場にした点が、今回の出演の特徴といえる。

引用元: AEN、3万人規模の日本公演でファンとの交流を前面にしたドームステージを披露(スポーツソウル日本版)

分析・見解

新人がドームに立つ意味は、動員力の証明ではない

今回のAENの出演は、単独公演ではなく複数グループが並ぶ合同イベントでの舞台である。つまりドームを満員にした実績ではなく、3万人規模の会場で初めて名前を知る観客にも届くかが試された場といえる。デビュー間もないグループにとって、こうした合同ステージは観客を一気に広げる数少ない機会である。単独で同規模の会場を埋めるには、通常は数年の活動実績が必要になる。その近道として合同イベントを使う戦略は、近年の新人グループに共通して見られる。

ファン発案のダンスチャレンジが担う役割

映像で目を引くのは、ファンから寄せられた振り付けを本番前に練習していた点である。ダンスチャレンジとは、短い動画で共有される振り付けをまねして投稿する遊びのことだ。通常は宣伝のために事務所側が仕掛けることが多い。しかしAENでは、ファンが先に作った流れをメンバーが拾い、ステージ上で返している。この向きの違いは大きい。ファンは自分の投稿が公式の場に反映されたと感じ、次の投稿への意欲が高まる。企業の広告と違い、参加者が自分ごととして拡散してくれる循環が生まれる。メイキング映像として公開することで、当日会場にいなかった人にも同じ体験が共有される点も見逃せない。

日韓同時デビューが抱える難しさと強み

AENは日韓同時デビューを掲げている。韓国と日本の両方で同じ時期に活動を立ち上げる方式は、片方で人気が出てからもう片方へ進出する従来型より、市場の立ち上げが早い。一方で、両国の言語や慣習の違いから、ファンとの関係づくりが二重に必要になるという負担もある。今回の日本公演は、その負担を交流という共通の言語で乗り越えようとする試みとして読める。ダンスは言葉が通じなくても成立するため、国境をまたぐ新人にとって使い勝手のよい接点である。第5世代と呼ばれる最近のグループでは、SNS上のファンとの接点の多さが成長の速度を左右しており、AENの動きはその流れに沿っている。

大会場ほど、近さの演出が難しくなる

3万人の会場では、後方の観客とメンバーの距離は百メートルを超える。物理的な近さは作れないため、見せ方で補う必要がある。大型スクリーンへの映し方、観客参加型の振り付け、ファン名を呼ぶ声かけなど、小さな工夫の積み重ねが距離を縮める。今回の交流重視の構成は、この難題への一つの答えである。大会場の迫力に頼らず、個人として認識されていると感じてもらうことが、次の単独公演につながる鍵になる。

ビジネスへの影響

顧客参加型の企画は、小さく始めて公式に取り込む

AENの事例から学べるのは、顧客が自発的に作ったものを企業が拾い上げて公式の場で返す手順の強さである。商品名に合わせた投稿や、利用者が考えた使い方の紹介などは、どの業種でも応用できる。まずは自社のSNSで利用者の投稿を観察し、反応の大きいものを一つ選んで、公式の発信やイベントで取り上げるとよい。費用をかけた広告より、採用された顧客の周囲への波及が大きい場合が多い。

合同イベントを新規層の獲得に使う発想

単独で集客できない段階では、他社と並ぶ合同の場に出て、既存ファン以外に見てもらうことが有効である。展示会や業界イベントでも同じだ。ただし新規の来場者に向けては、説明を増やすより、体験や参加の要素を入れる方が記憶に残る。出展するなら、来場者が数分で参加できる仕掛けを一つ用意し、その様子を後日の映像や記事に残して、来られなかった人にも届ける流れを設計したい。

複数市場に同時展開するときの注意点

日韓同時デビューのように二つの市場を同時に立ち上げる場合、現地ごとに別の施策を用意すると運営の負担が重くなる。共通して使える接点を先に決め、その上で言語や習慣の違う部分だけを現地向けに調整するのが現実的だ。成果は市場ごとに分けて測り、どちらで手応えがあるかを早めに把握することが、限られた人手での投資配分に役立つ。

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